子育て応援ひろばすかりぶ

“子育て応援ひろば すかりぶ”は、「体験しながら学ぶ」情報を発信し、
横須賀で子育てをする皆さんをまちぐるみで応援します。

首都圏で風しんが増えています(医長が教える子どもの健康 2018年10月号)

7月下旬以降、千葉県、東京都、神奈川県などの首都圏を中心に風しんの患者報告数が急増しています。9月2日までの報告数は362人で、94%(341 人)が成人で、男性が女性の4.1 倍多くなっています。年齢階級別では、男性は30歳代~40歳代、女性は20歳代での報告が特に多くなっています。地域別には東京都(111 人)及び千葉県(95 人)からの報告が多く、神奈川県は32人に達しています。過去には2013 年に14,344 人の患者が報告され、この流行に関連した先天性風疹症候群が45 人確認されています。

風しんとは

風疹ウイルスの感染による病気です。3~4日で治るので「3日はしか」とも呼ばれています。しかし、はしかとは違う病気です。たいていは、軽い経過で終わります。 主に子どもがかかりますが、大人もかかります。 風疹ウイルスの潜伏期間は、14日~21日です。人にうつる期間は、発疹が出る7日前から発疹がでた後5日間くらいですが、発疹が出ている時が最もうつりやすい頃です。4分の1くらいの人は、かかっても症状がはっきりしない場合があります。
症状は2~3日の38度前後の発熱と同時に発疹が出ます。発疹は、あざやかな赤い色で顔から首、からだ、手足のように全身に広がりますが、3日前後で消えます。耳の後ろや首のリンパ節がはれ、グリグリした感じになります。
抗ウイルス薬はありませんが、予防接種が有効です。

妊婦さんは要注意!

 注意しなければならないのは妊娠20週頃までの人です。胎児が感染し、先天性風疹症候群が起こることがあります。 白内障、難聴、心疾患が主な症状です。 10代後半から40代の女性(特に、妊娠希望者又は妊娠する可能性の高い方)、産褥早期の女性、妊婦の夫、子ども及びその他の同居家族などの妊婦の周囲の方のうち、抗体価が十分でない方は任意での予防接種を受けることをご検討ください。ただし、妊娠中は風しんの予防接種を受けることはできません。

30代から50代の男性に免疫のない人が多い。

 日本は1977年から女子中学生を対象に風しんの定期予防接種を始めました。先天性風疹症候群の予防が目的でしたので、男性は対象になりませんでした。この制度は1994年度まで続きました。その後の制度変更により接種対象者は男性にも拡大されましたが、2018年9月現在、39歳5か月以上の男性と56歳5か月以上の女性は風しんの定期接種の機会はありませんでした。その結果、30代後半から50代の男性の抗体保有率(免疫のある人の割合)が8割前後にとどまっています。

横須賀市の麻しん風しんワクチン接種状況

2017年度の横須賀市の麻しん風しん(MR)ワクチン接種率は、第1期:90.2%、第2期:89.8%でした。2016年度は、第1期:95.7%、第2期:85.9%でした。2016年度の国全体のMRワクチン接種率は、第1期:97.2%、第2期:93.1%でしたので、国全体より低くなっています。

参考資料