子育て応援ひろばすかりぶ

“子育て応援ひろば すかりぶ”は、「体験しながら学ぶ」情報を発信し、
横須賀で子育てをする皆さんをまちぐるみで応援します。

自己肯定感は、育児放棄と同様に、過保護でも育たない?(医長が教える子どもの健康 2018年11月号) 

◎自己肯定感とは?

 「ありのまま、そのままの自分を、自分自身が認める」、「自分は大切な存在」、「自分はかけがえのない存在」だと思える感覚。この感覚がないと、自分自身はもちろん、他者も尊重することが困難になります。 理想は子供の生存の安全を脅かさない、安心出来る家庭で育ち、家庭外で何があろうとも、笑顔で迎えてくれる安全基地みたいな、養育者がいることです。新しいことに挑戦する時、不安や恐怖を感じても、「大丈夫、安全基地があるから」という、自己肯定感があれば、挑戦出来ます。たとえ失敗しても、再挑戦すればきっと大丈夫。そんな前向きで積極的な考え方に繋がるのです。

◎自己肯定感が育たないと

・精神的に不安定で、すぐに涙を見せたり、攻撃的になったりする。
・主体性が低く、自信がなく、物事を否定的に捉える。
・受身的で、他者からの評価を必要以上に気にする。
・他者と比べて、落ち込み易くなる。
・失敗から逃げる。失敗すると自己価値まで否定しまう、そんな偏見を持っているため、結果的に、問題解決能力が低下してしまうこともある。
・他者を過剰に期待し過ぎてしまい、「あれもしてくれない。これもしてくれない」が、口癖になる人もいる。
・置かれている状況や、人間関係について、違和感を持っていることも多い。
・罪悪感を持ち易く、楽しく生きられない。

◎毎年11月は児童虐待防止推進月間

 全国の警察が今年(1~6月)に、虐待の疑いで、児童相談所に通告した、18歳未満の子は、過去最多の3万7113人になりました。7年連続の増加で年間で最多だった、昨年の(1~6月)人数を超えてしまったようです。児童虐待には、DVや夫婦喧嘩を子供に見せたりする、心理的虐待や、育児放棄、身体的虐待などがあります。育児放棄された被虐待児は、その存在を無視されるため、自己肯定感が育ちません。神聖ローマ帝国時代、赤ちゃん50人にアイコンタクトや笑顔、話掛けの3つとも禁止し育てたところ、ミルク、排泄、風呂をしたにも関わらず、全員亡くなったそうです。

◎過保護な養育でも、

育児放棄と真逆の過保護でも、自己肯定感が育ちません。過保護な養育とは、絶対に失敗しないような、環境に子供を置くことです。「あれは危ない」「これは悪い」などと、失敗する可能性をあらかじめ摘み取っては、能力は向上しません。また、自発性をも奪ってしまうのです。脳の発達は、自発的な活動をする時、伸びると言われています。興味や好奇心が働いた事に、楽しく集中すれば、ドーパミンが脳内に溢れ出すのです。ドーパミンは、やる気ホルモンとも言われ、ヒトの高度な知性をも伸ばします。もちろん、やけど、交通事故、高所、誤飲などなど、致命的になりうる怪我は、未然に防がなければなりません。しかし、過保護な養育者は殆んど、知らず知らずに、その意図(子供の健やかな成長)に反し、子供の自己肯定感を減じているのです。

◎自己肯定感を育てるには

子供が自発的に何かに取り組んだ時、成功でも失敗でもまずは、本人に体験させることです。成功はもちろん認めます。失敗しても、それを指摘するのではなく、再挑戦する行動を見守りましょう。小さなステップでも、成功体験を積み重ねていけば、「やればできる」「自分は素晴らしい」という、気持ちが強くなります。だんだん自信が付き、自己肯定感が高まって行くのです。