子育て応援ひろばすかりぶ

“子育て応援ひろば すかりぶ”は、「体験しながら学ぶ」情報を発信し、
横須賀で子育てをする皆さんをまちぐるみで応援します。

よだれが多いのは、悪いこと? (医長が教える子どもの健康 2018年5月号)

よだれの増減

生後3ヶ月くらいからよだれが増え、離乳食開始、乳歯が生える時期に、さらに増えます。1歳、2歳くらいからは、よだれの垂れも少なくなるようです。赤ちゃんは、口を閉じる筋肉が未発達な上に、鼻づまり等で口呼吸をして、口を開いたまま過ごします。口が閉じたままなら、よだれも出ません。遊びの中で口を閉じる、機会を増やしましょう。おもちゃのラッパを吹いたり、ママが「あっぷっぷ」と、にらめっこをするように口が閉じると、赤ちゃんは、大好きなママの真似をしてくれます。よだれが多いと、赤ちゃんの敏感な肌が、かぶれてしまう恐れがあります。口の周り、顎や首は、好発部位です。すぐに拭いて、かぶれが出る前に、なるべく早く行動しましょう。

無色透明な「はなみず」

生理的な「はなみず」は無色透明で水性ですが、ウイルス感染やアレルギー性鼻炎でも無色透明です。無色透明でも、「はなみず」以外の症状もあるときや、「はなみず」の多い状態が続くときは、かぜやアレルギー性鼻炎などの可能性もありますので、かかりつけの医師などに相談しましょう。

よだれは少ない方いいの?

いいえ、少ないより多い方がむしろ好ましいのです。よだれ(唾液)には、以下の働きがあります。    
1)口内の食物に潤いを与え、咀嚼と嚥下を助ける
2)デンプンを消化
3)口内の洗浄と抗菌作用
4)口内の粘膜保護、傷の修復
5)摂取した物による口内の急激な酸性化を和らげ、歯を守る

口内の急激な酸性化とは?

食後、口内に残った、砂糖とデンプン等の炭水化物をエサに、口腔内細菌が、酸を生成し、またさらに、酸性の飲食物でも、口内は酸性化します。歯は硬いエナメル質が覆われているのです。この硬いエナメル質も、酸に腐食され、虫歯になることがあります。唾液中の重炭酸塩やリン酸塩は、酸を中和する成分です。酸っぱい食物を見たり、食べたりすると、唾液が分泌するのは、酸性の飲食物から酸性化を和らげます。

よく噛むと、頭が良くなる?

よく噛むと、唾液が出ます。その唾液中には、神経栄養因子が含まれ、その名の通り、神経に栄養を与える物質です。老いたラットでは、海馬の神経栄養因子量が減少しています。海馬とは、「新しい記憶」を獲得する脳の一部分です。もし、海馬が損傷すれば、昔のことは覚えていても、新しいことはすぐに忘れてしまいます。海馬が萎縮した、アルツハイマー型認知症認知症の症状です。学習能力の低下した、老いたラットに、神経栄養因子を1カ月間投与すると、その学習能力は改善します。ヒトの場合でも、噛む回数が減り、唾液が減少すると、脳の老化を早めます。唾液中の神経栄養因子が、少なくなるからです。

唾液は、胃潰瘍をも修復する?

また、唾液中には、上皮成長因子も含まれ、粘膜の細胞に働き掛け、口、及び消化管の傷を修復します。胃潰瘍があっても、唾液中の上皮成長因子が働くのです。外に出るよだれは、他者への感染原因となり不潔です。しかし、自分の消化管に入れば、メリットとなります。