子育て応援ひろばすかりぶ

“子育て応援ひろば すかりぶ”は、「体験しながら学ぶ」情報を発信し、
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白か黒か思考は、育児環境とも関係がある?(医長が教える子どもの健康 2019年3月号)

◎白か黒か思考とは?

 白か黒か、全か無か、敵か味方か、善か悪か、勝ちか負けか。両極端に二分割した思考のパターンです。ミスや敗戦を許さず、完璧さ、完全さを求めます。結果がすべてで、その過程の頑張りに、価値を置きません。運、才能、努力に恵まれて、勝ち続けていれば、素晴らしい成果となるでしょう。しかし、一度の敗戦でも、脆くも崩れがちです。

◎白か黒か思考は、過剰なストレスを生み出す?

 白か黒か思考の人に、ありがちな行動は、
・一回ミスをすると急に、意欲や集中力がなくなる
・自分が一番になれないと予測すると、やらない
・「いつも」「みんな」「絶対」等、極端な言葉が口癖
・「~であるべき」と理想を追う
・相手の立場に立って、考えられない
 失敗を乗り越えることが、自己成長となるのに、失敗でいちいちモチベーションを落とすならば、なかなか伸びないでしょう。「完璧な理想の自分」から、益々遠ざかることで、さらに落ち込んでしまいます。過剰なストレスの殆んどが、人間関係が原因です。世間は自分に都合のいい、人ばかりではありません。現実を受け入れようとしなくなり、余計なストレスが強くなってしまいます。

◎“良いママ”と“悪いママ”

 3~4か月ぐらい赤ちゃんは、まだ、ママの乳房や顔、目、口、手がママの全体として、認められないと考えられています。それぞれ、別なものとし、特に、自分の空腹を満たしてくれる、良いママに好感を。空腹を満たしてくれない、悪いママに怒りを持ちます。そして、1歳くらいまでに、どちらも一人のママだと、理解出来るようになるようです。ところが、白か黒か思考が過ぎる人は、“良いママ”と“悪いママ”様に、両極端で考えてしまいます。特に心理的被虐待児は、白か黒か思考にとらわれ易いのです。心理的虐待とは、言葉の暴力などで、その児童の存在を否定します。「死ね」「嫌われ者」「大嫌い」「生まれて来なければ良かったのに」。育児環境の大部分が、“悪いママ”で占められるのです。

◎白か黒か思考の拘り少なくするには?

 白か黒かの二極ではなく、その間にグレーゾーンがあると考えることです。例えば、赤ちゃんの夜泣きは、とっても辛いもの。夜泣きの期間は、半年~1歳半が一般的と言われています。もちろん、ママの育児法の良し悪しが、原因ではありません。ほとんど原因不明のグレーゾーンです。夜泣きする赤ちゃんを、育てにくい子と見なすのではなく、そんな時期もあると容認してあげることで、白か黒か思考のこだわりが幾分、少なくなるのではないでしょうか? 赤ちゃんは自分の食欲、安全、存在を叶えてくれる、“良いママ”が大好きです。ヒトは大好きものに興味を持ち、主に目と耳からその情報を得ようとします。よって、目を見てたくさん話し掛けられた赤ちゃんは、言語の習得が早くなり、より良い親子関係を築けるのです。「ながらスマホ」の弊害もあります。ある調査によると、自分とスマホを比べると、ママはスマホを大事にしている、と思っている子供が20%もいたそうです。「僕(私)は、世界で一番ママが大事なのに、ママには僕(私)より大事なスマホがある」その失望感は、きっと大きいでしょう。兄弟姉妹と比較でさえも、心理的虐待とも言えます。「おにいちゃんは、出来たのに」「おねえちゃんは、いい子だったのに」。どんな子でも一番に愛されたいのです。