子育て応援ひろばすかりぶ

“子育て応援ひろば すかりぶ”は、「体験しながら学ぶ」情報を発信し、
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ダニ媒介感染症(医長が教える子どもの健康 2020年2月号)

先日、米国の人気歌手が、ダニを媒介とする細菌によって感染する「ライム病」に罹患していたことを発表しました。

ダニ媒介感染症とは、病原体を保有するダニに咬まれることによって起こる感染症のことです。

ライム病は、米国で多く報告されています。日本でも例年20人程度の報告がありますが、北海道以外はほとんどないそうです。しかし、日本にはライム病以外のダニ媒介感染症があります。日本紅斑熱、 ツツガムシ病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの感染症です。日本紅斑熱は例年300人以上、ツツガムシ病は400人以上の報告があります。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の昨年の報告数は101人で、過去最高でした。

これらの病気はどのように感染するのでしょうか。人が野外作業や農作業、レジャー等で、これらのダニの生息場所に立ち入ると、ダニに咬まれることがあります。ダニがウイルスや細菌などを保有している場合、咬まれた人が病気を発症することがあります。

マダニに咬まれないようにするにはどうしたらよいでしょうか?マダニの生息場所に立ち入らないことです。立ち入る場合は、マダニから身を守る服装をしましょう。腕・足・首など、肌の露出を少なくしましょう。首にはタオルを巻くか、ハイネックのシャツを着用します。シャツの袖口は軍手や手袋の中に入れます。シャツの裾はズボンの中に入れます。ハイキングなどで山林に入る場合は、ズボンの裾に靴下を被せます。そして、忌避剤(虫よけ剤)を使いましょう。

ダニ類の多くは、長時間(10日間以上のこともある)吸血します。吸血中のマダニを無理に取り除こうとすると、マダニの口器が皮膚の中に残り化膿することがあるので、皮膚科等の医療機関で、適切な処置(マダニの除去や消毒など)を受けて下さい。マダニに咬まれたら、数週間程度は体調の変化に注意し、発熱等の症状が認められた場合は、医療機関で診察を受けて下さい。

注)ツツガムシはダニ目ケダニ亜目ツツガムシ科に属しており、厳密ではマダニではありません。マダニはダニ目マダニ亜目マダニ科です。